オンラインゲームのチートって、ぶっちゃけ根絶できないですよね。
壁越しに敵が見えるウォールハック、自動で敵に照準が吸い付くエイムボット……マルチプレイヤーゲームを遊んでいると、誰しも一度はこういう理不尽を食らったことがあるはずです。
そして2026年、この問題はさらに厄介な局面に入りつつあります。
AIを活用した新世代のチートツールが登場し、これまで「チートが難しい」とされてきたゲームにまで浸食し始めているんです。
サイバーセキュリティ企業のSurfsharkが、世界的に人気の高いオンラインマルチプレイヤーゲーム15タイトルを対象に、チート関連キーワードの検索動向を調査・分析しました。その結果が、なかなか興味深い内容になっています。
今回はその調査データをもとに、どのゲームがどれだけチートされているのか、アンチチートの実効性はどうなのか、そしてAIチートという新たな脅威まで、一緒に見ていきましょう。
調査の概要と方法
まず、どういう調査なのかを簡単に整理しておきます。
Surfsharkは2026年1月から2月にかけて、世界的な人気を誇るオンラインPCゲーム15タイトルを選定。それぞれのタイトルについて、以下の4種類のキーワードを組み合わせた月間検索ボリュームをSEO分析ツール「Ahrefs」で取得しています。
- ゲーム名 + ハック
- ゲーム名 + チート
- ゲーム名 + ウォールハック
- ゲーム名 + エイムボット
その検索数を月間アクティブプレイヤー数で割り、プレイヤー1,000人あたりの比率に換算した指標を「チート関心度」として比較しています。
単純な検索数ではなく、プレイヤー母数に対する比率で見ているのがポイントです。大作ゲームほど絶対数は多くなりがちなので、公平な比較のためにこの形式が採用されています。
チート関連検索数ランキング——Call of Dutyが断トツ
さっそく結果から見ていきましょう。
| 順位 | タイトル | 1,000人あたり検索数 | アンチチート方式 |
|---|---|---|---|
| 1位 | Call of Duty | 66件 | カーネルレベル |
| 2位 | ロケットリーグ | 59件 | ユーザーレベル |
| 3位 | レインボーシックス シージ | 53件 | カーネルレベル |
1位はCall of Duty。プレイヤー1,000人あたり66件というのは、かなりの数字です。
CoD自体が世界規模で億単位のプレイヤーを抱えることを考えると、チートへの関心がいかに高いかが分かります。
正直なところ、CoDのチート問題は今に始まった話じゃない。
Warzoneが流行った頃には、試合中にほぼ確実に不正プレイヤーに当たるような時期もありました。
Activisionはずっとこの問題と格闘し続けていて、カーネルレベルのアンチチート「Ricochet」を導入してからは改善されたとも言われていますが……それでもこの検索数なんですよね。
2位のロケットリーグは後ほど詳しく触れますが、「チートが難しいゲーム」として知られながら2位というのが、この調査の面白いところです。
ジャンル別に見るチート関心の差
ゲームジャンルごとに分類すると、さらに興味深い傾向が見えてきます。
| ジャンル | 1,000人あたり平均検索数 |
|---|---|
| アクション系 | 40件 |
| バトルロイヤル | 28件 |
| シューティング | 23件 |
| MOBA | 0.3件 |
ここで注目したいのがMOBA(マルチプレイヤーオンラインバトルアリーナ)の圧倒的な低さです。
League of LegendsやDota 2といったタイトルが含まれるこのジャンルでは、チート関連検索がプレイヤー1,000人あたりわずか0.3件。アクション系の約130分の1です。
これはゲームの構造的な問題とされています。MOBAは複雑な意思決定と状況判断を求められるジャンルで、エイムボットのような単純な自動化ツールがほぼ機能しない。チートしても強くなれない、という構造がチート抑止につながっているわけです。
逆に言えば、FPSやTPS系のゲームは「狙いを正確にする」「壁越しに見る」という明確な不正の手段があるから、チートへの需要も高い。ゲームデザインとチートの需要は、思った以上に密接に関係しているんですね。
そもそもアンチチートシステムって何?実際に効くのか
この調査で特に議論になるのが、アンチチートシステムの実効性についてです。
アンチチートには大きく分けて2種類の方式があります。
| 項目 | カーネルレベル | ユーザーレベル |
|---|---|---|
| 動作層 | OSの核(カーネル) | 通常のアプリと同じ層 |
| 権限 | 最高レベル(ハードウェアまで監視) | 制限あり |
| 検知能力 | 隠しプロセス・ドライバー改ざんも検知可能 | 限定的 |
| 採用例 | CoD(Ricochet)、Valorant(Vanguard)など | ロケットリーグ、マーベル・ライバルズ、Dota 2など |
| 1,000人あたり平均検索数 | 20件 | 35件 |
めちゃめちゃわかりやすく言うと…
数字だけ見ると、カーネルレベルのアンチチートを採用しているゲームはチート関連検索が平均20件、ユーザーレベルのものは35件と、約1.75倍の差があります。
一定の抑止効果はあると言えそうです。
ただし、カーネルレベルのアンチチートには根本的なトレードオフがあります。
OSの最深部で動作するということは、そのソフトウェア自体に脆弱性があった場合、システム全体が危険にさらされるリスクがあるということです。
Surfsharkのトマス・スタムリスCSOは、カーネルレベルのプログラムはハードウェアやシステムメモリに対して制限のない高い権限で動作するため、チート検知において強力な武器になる一方で、悪用や脆弱性が突かれた際の被害は際限なく広がりうると指摘しています。
実際、過去にはカーネルレベルのアンチチートドライバーを悪用したランサムウェアの事例も報告されています。プレイヤーとしては、このトレードオフを理解した上でゲームを選ぶ目も持っておく必要があります。
ロケットリーグが2位になった理由。AIチートという新章
この調査で個人的に一番「マジか……」と思ったのが、ロケットリーグの2位という結果です。
ロケットリーグはサーバー側で物理演算を処理するアーキテクチャを採用しており、従来型のスピードハックやボール操作ハックが技術的に不可能なゲームとして知られています。
「チートしたくてもできない」ゲームの代表格みたいな存在だったはずです。
それがなぜ2位なのか。
答えは、チートの手法そのものが変化しているからです。
従来のチートが「ゲームのデータを直接書き換える」アプローチだったのに対し、最近台頭しているAI駆動のチートツールは全く違う方法を取ります。
- ゲーム画面を外部デバイス(キャプチャカードなど)でリアルタイム解析
- YOLOなどの物体検出AIで敵の位置を特定
- 人間の操作を模倣する形でマウス入力を自動生成
- ゲームのプロセスに一切触れないため、従来のアンチチートが検知しにくい
ゲームのプロセスをいじらない、画面を外側から見るだけ。
これは理論上、どんなアンチチートシステムでも検知が難しい手法です。
Valorantでは、物理的にマウスパッドを動かすハードウェアデバイスを使ったAIエイムボットが登場して話題になりましたが、まさにこの路線の延長上にある問題です。
ロケットリーグのチート関連検索の多さは、こういったAIボットや予測スクリプトへの関心が高まっていることを反映していると、調査は結論付けています。
チートツールのもう一つのリスク——マルウェアの温床
ここからはゲームの話だけじゃなく、セキュリティの話として聞いてほしいのですが。
チートツールを使うこと自体がサイバーセキュリティ上の大きなリスクになっています。
チートソフトをインストールする際、ユーザーはほぼ必ずアンチウイルスを無効にするよう求められます。
さらに、カーネルレベルで動作するゲームなら管理者権限まで要求されます。
これは言ってしまえば、「自分のPCのすべてをそのソフトウェアに明け渡す」行為です。
チートツールに見せかけたマルウェアが、パスワードや認証情報を抜き取る情報窃取ソフト(インフォスティーラー)やリモートアクセス型のトロイの木馬(RAT)として機能する事例が実際に確認されています。
「ちょっとエイムボット使ってみようかな」という軽い気持ちでダウンロードしたファイルが、銀行口座やゲームアカウントを全部抜き取るものだった…という話が、洒落にならない頻度で起きているわけです。
AIによるチートと、AIによるアンチチート。終わらない軍拡競争
この状況は、サイバーセキュリティの世界で長年続く攻撃者と防御者のいたちごっことまったく同じ構図です。
現在、複数のゲームスタジオがAIを活用したアンチチートエンジンの開発・テストを進めています。
複数の試合にわたってプレイヤーの行動パターンを分析し、統計的に異常な動きを検出するアプローチです。
人間がどれだけ上手くなっても、100%の正確率でヘッドショットを連続で決め続けることは不可能です。そういう「人間離れしたスタッツ」を機械学習で炙り出す試みが進んでいます。
一方でチート側もAIで進化し続けています。人間の操作パターンを学習して、不自然でない動きの中に不正を潜り込ませる手法が開発されつつあります。
正直なところ、これが完全に解決される未来は見えていません。技術的な問題であると同時に、「楽して勝ちたい」という人間の欲求が消えない限り、チートへの需要自体は消えないからです。
ゲーム開発者とチーターのAI軍拡競争は、まだ始まったばかりかもしれません。

チートを使って「強い」と称されたその先、その人やその周囲はどうなるんでしょうね。
まとめ
Surfsharkの調査をもとに、オンラインゲームのチート問題を整理してきました。要点を振り返っておきます。
- チート関連検索数でCall of Dutyが1位(1,000人あたり66件)。次いでロケットリーグ(59件)、R6S(53件)
- MOBAはゲーム構造上チートが難しく、検索数はわずか0.3件
- カーネルレベルのアンチチートは一定の効果あり(平均20件 vs ユーザーレベルの35件)だが、プライバシーリスクも伴う
- AIを使った新型チートが従来の対策を迂回し始めており、「チート不可能」なゲームにまで影響が及んでいる
- チートツールのダウンロード自体がマルウェア感染のリスクになっている
チートは他プレイヤーへの迷惑行為であることはもちろん、自分自身のセキュリティをも脅かす行為です。
こういうデータを見るたびに思うのは、公平な対戦環境って本当に脆くて、守るのがいかに難しいかということ。
開発者がどれだけ頑張っても、需要がある限り供給は生まれる。結局のところ、コミュニティ全体の意識が変わっていくことが一番の解決策なのかもしれません。
調査の詳細はSurfsharkの公式ブログから確認できます。
FAQ
チート関連検索数が最も多かったゲームはどれですか?
Call of Dutyがプレイヤー1,000人あたり66件で1位です。次いでロケットリーグが59件、レインボーシックス シージが53件となっています。
カーネルレベルのアンチチートとは何ですか?
OSの中核部分(カーネル)で動作するアンチチートシステムです。
通常のアプリが届かないレベルまで監視できるため、隠しプロセスやドライバーレベルの改ざんも検知できます。ValorantのVanguardやCall of DutyのRicochetが代表例です。ただし、高い権限を持つ分、脆弱性が突かれた際のリスクも大きくなります。
AIを使ったチートとはどういうものですか?
ゲームのプロセスを直接操作するのではなく、画面をAIがリアルタイム解析して敵の位置を特定し、マウス操作を自動化する手法です。ゲームのシステムに触れないため、従来のアンチチートでは検知が難しいのが最大の問題点です。
チートツールをダウンロードすると何が危険なのですか?
チートソフトに偽装したマルウェアが多く存在し、インストール時にアンチウイルスの無効化・管理者権限の付与を要求されるケースがほとんどです。その状態でパスワードや個人情報を盗む情報窃取型マルウェアやRATに感染するリスクが高くなります。
MOBAがチートされにくいのはなぜですか?
MOBAはゲームの複雑なメカニクスと状況判断が中心のジャンルで、エイムを自動化するや壁越しに見るといった単純なチートが機能しにくい構造になっています。結果として、チートへの技術的なハードルが高く、検索需要も極めて低くなっています。
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